※N2の妹夢主、本編後IF

「……妹ちゃん、最近、どう?」

「あたし、あなたの妹じゃないんですけど」

あたしは紅芋パフェの一番上にバランスよく乗っかっているアイスクリームを掬って口に入れた。両親が離婚した後久しぶりに娘に対する父親みたいな話の始め方をした種ヶ島さんはバツが悪そうな顔をして、カフェラテを啜った。ちなみにうちの両親は全然離婚しておらずむしろ仲良しなので、さっきの比喩表現は想像によるものだ。

種ヶ島さんは月に一度ほど、あたしたちの家へ訪れる。 それがお姉ちゃんに対する罪滅ぼしなのかは知らないけれど、今のところ、お姉ちゃんと種ヶ島さんはバッティングしていない。これはあたしが意図的にしているものではなく、ただ単純にお姉ちゃんの運の良さのおかげと種ヶ島さんの運の悪さのせいだろう。

そのまま家にあげて、あとからお姉ちゃんと鉢合わせるのはあたしが嫌なので、あたしは種ヶ島さんを家へ追い出し、そしてついでにお姉ちゃんが寄らなそうな家から少し離れたチェーンの喫茶店やファミレスへ彼を引きずって連れて行く。

そしてあたしはその時今一番食べたいものを選び、 種ヶ島さんはなんかよく知らないけどいつも違うものを頼む。その日の気分で選んでるのかな。

「ていうか、種ヶ島さんが本当に聞きたいのはあたしのことじゃなくてお姉ちゃんのことですよね? 何あたしをダシにしてんですか。聞きたいなら遠回しじゃなくて直接聞いてくださいよ、まどろっこしい」

「……いや、もう、仰る通りやわ」

多分種ヶ島さんって、本来は、あるいは他の人に見せ ている姿ってこういう感じじゃないんだと思う。あたしが応対する彼は、いつだって申し訳なさそうだし、瞳の奥でなにか懐かしいものをみて寂しそうだ。それはきっと、お姉ちゃんと、そしてあの合宿所で起こったお姉ちゃんに関する出来事が原因なんだと思う。

あたしは別に、合宿所に対しても、名前も顔もほとん と知らない合宿にいた人たちに対しても、個人的なことは何も思っていない。ただお姉ちゃんのことに関しては、 全く許すつもりがないというだけだ。

テニスが大好きだったお姉ちゃんがテニスを辞めたのは間違いなくお姉ちゃんの意思だけど、そのきっかけや崩壊や欠落の責任は顔も知らない彼らにあるんじゃないかとあたしはずっと思ってる。

「じゃあ単刀直入に聞くんやけど」 「うん」

紅芋チップスをばり。

「妹ちゃんのお姉ちゃん、最近何してるん?」

「テニスはしてませんよ。ラケットもゴミに出したんじゃないですかね」

ウエハースをさくり。

「……ああ、うん。まあそれはなんとなく予想してたわ。他には?」