誰かの気配を感じて、目を覚ます。

「……あさ……うわっ」

「うおっ」

よく見知った顔がドアップでわたしの視界に映り込む。反射的に起き上がろうとすれば、額と額が正面衝突した。こんな漫画みたいなことある?

「天国さん、大丈夫ですか!?」

「いや……そんなことより君の眼鏡は生きてる?」

「え、」

「だから眼鏡! フレームの歪みは!?」

「ああ、はい……眼鏡なら大丈夫です」

同じ眼鏡ユーザーのくせに、眼鏡の重要度が分かっていないのかと腹立たしい。

「もう……眼鏡無くて困るのは自分だよ? レンズはまだしもフレームやられてたら取替え面倒だし……金かかるし……」

「俺の眼鏡のことより自分の心配してください」

半目で見られるけれど、どう考えてもあんな間近で顔面待機させている君が悪いでしょうが。

時計を見れば、ちゃんと朝だった……ちゃんと朝? なんだその言い回しは。自分で言っておきながら、違和のある台詞である。

「至近距離で顔面直視をしておきながらいい度胸だね」

「違います! 声掛けても起きなかったんで、何かあったのかと思ってですね……」

「体揺らして起こしてくれたら良いのに」

「女性の体に無許可で触るのはちょっと……」

いや至近距離は良いのかよ、と思ったけど面倒なので口に出さないでおいた。天然っぽい発言をつつくのは気が引けるので。